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〜 OB日記 〜

Vol 20. 未来に向って今をいきる

 

 

「未来に向かって今を生きる」

 

 遂にこのカノア生活も残すところあと1週間足らずとなってしまいました。

 終わりに近い時間って本当に流れるのが早く感じるのはなぜなんでしょうか。

 やっぱりそれは終わりを意識するからなんでしょうね。

 時間の終わりを意識するからこそ、時間を貴重に感じるのです。

 貴重に思うからこそ「今」という一瞬一瞬を大切に使い、そうして使われる貴重な時間を過ごしている自分であればあるほど、その自分は時の流れを早く感じるものなのでしょう。

 

 

 また、最近カノアに到着した友達とこんな話もしました。

 自分の大好きな女の子と一緒に観覧車に乗る時間はとてつもなく短く感じるけど、サメに襲われて食われる時間はとてつもなく長く感じる。

 これはどこかのテレビ番組かなんかでアインシュタインの相対性理論を簡単に示したものらしいけど、その何が違うかって考えると、「終わってほしくない」のと「早く終わってほしい」という時間の違いだと思う。

 

 要は、終わってほしくないって自分が思っていればいるほど時間は早く過ぎ、早く終わってほしいと思っていればいるほど時間はなかなか過ぎないものなのでしょう。

 どちらにしても時間の長さは同じですが、感じ方によって時間の密度が変わってくるのです。

 ということは、時間が過ぎるのをとても早く感じている今の僕は、このカノアにいる時間が終わってほしくないと思ってもいるのでしょうね。

 まあ反対に、日本に帰るのも楽しみなので、それを考えるとやっぱり時間が過ぎるのが遅く感じたりもしますが。

 

 どっちなのかって言われてもどっちもです。

 でもやっぱり、前者を大切にしたいです。

 なぜなら、先のことよりもかけがえのない今を大事にしたいからです。

 

 

 

 

 さて、最近ダイアーニと喧嘩しました。

 原因は、彼女との価値観の違い。

 それも、彼女にとっては最も大切で、触れられたくなかったことだったのです。

 

 

 彼女は18歳。

 1年前に僕が始めてここに訪れて以来、ずっと親しくしてきてくれた子です。

 また、この村の青年団の中ので常に中心にいる子でもあり、責任感が強く面倒見の良い美人姉妹の長女です。

 そんな彼女は、今ドイツ人ボランティアのマークと付き合っています。

 彼女と彼が付き合うこと自体はいいのですが、僕には見逃せない問題がありました。

 マークはドイツ人のボランティアで、来年の6月にはドイツに帰国します。

 彼は当然この村の子よりもお金を持っており、タバコも吸うし、お酒もよく飲みます。

 彼自身は本当にいいやつなんですが、恋人のダイアーニにもその影響が及んでいるのです。

 

 タバコを吸うのが体に悪いとか、そもそもの問題はそんな表面的なことにあるんじゃなくて、もっと根本的なことにあると思っていました。

 それは、ダイアーニ自身の生活の基準がずれてしまい、それに慣れてしまう危険があることです。

 更には、その下の姉妹への影響も。

 

 

 お金持ちの外国人と付き合い、自分にはできないことばかりに慣れてしまって、いざ彼がドイツに帰るとなると彼女は今までの生活を取り戻せるでしょうか。

 自分の中で幸せの基準が上がってしまったのなら、それを下に引き下げることができるでしょうか。

 かつての幸せに縛られ、外国人に憧れたり、自分の身を削ったりする可能性はないでしょうか。

 更には、自分たちとは違った新鮮な生活をしている自分たちの母親代わりのお姉ちゃんの姿を見た姉妹達は、今のダイアーニに憧れ、目の前にある幸せを見過ごし、見せかけの幸せをつかもうとしてしまう危険はないでしょうか。

 自分たちの「今」を見失い、流され、かつてあったものが失われていくことにならないでしょうか。

 

 

 多少考えすぎなのでしょうが、この村の現状を考慮したら十分に起こりうる問題です。

 僕がどこまでこの村の問題に関わるのかは難しいところではありますが、このような個人的な問題には関わるべきではないと思っていたので、目をそらしていたのが実際のところです。

 それを助長することだけはしないようにと心がけて。

 

 

 そんな中、問題が起こりました。

 ある日、マークが外食しにいこうと誘ってくれました。

 誰がいくのか尋ねると、彼一人だと言っていたので、行くことにしていました。

 しかし直前になって、ダイアーニもつれていくと言うのです。

 僕は、そこで行くのをやめました。

 

 

 先の問題を意識して自分が楽しめなかったら、せっかくの彼らの時間がもったいないし、逆に問題のことを忘れて楽しむのも、その問題を助長することになると思ったからです。

 マークはわからないことはわからないと言う性格なので、前は行くと行っておきながらダイアーニが行くとなると行かないという僕の理由を、全て彼に説明しました。

 彼は、わかってくれました。

 問題はありませんでした。

 でも、彼がそれをダイアーニにそのまま言ってしまったのです。

 

 

 ダイアーニはキレました。

 涙を流して悲しみ、そしてそれが怒りに変わったそうです。

 

 

 マークにそれを聞きました。

 その時、しっかり考えた上で自分のしたくないことはしたくないと言って流されなかったことに後悔はしませんでしたが、やっぱり彼女を相当傷つけてしまったことが気がかりでした。

 

 

 

 予想していた通り、次の日からダイアーニの態度は一変。目も合わしてくれませんでした。

 これはこれでしょうがないと放っておくのは簡単でしたが、やっぱりこれまでお世話になってくれた子だし、このまま関係が終わってしまうのは自分にとっても本当にもったいないことだから、彼女と話をすることにしました。

 

 「ダイアーニ、ちょっといい?」

 「・・・」

 

 彼女を傷つけてしまったことを謝ってから、僕は自分の考えを理解してもらおうと必死に説明しました。

 そして、彼女の考えも真剣に聞きました。

 

 

 彼女はこう言いました。

 「マークが来年帰ることくらいわかってるし、

 それを考えて本当に悲しくなることもたくさんある。

 それでもいいの。

 私にとっては、今が大事なの。

 将来のことなんか考えたくないの。

 今、今なの!!!」

 

 

 価値観がぶつかりました。

 そして僕は、この考えを受け入れました。

 

 

 抱き合って仲直りした後、一人で色んなことを考えました。

 もし自分がこの村の住民だったら、ダイアーニのような考えをするのは当然かもしれない。

 だって、この村の現状から将来のことを考えるなんて本当に難しいことだから。

 正直、この村に輝かしい将来が待ってるなんて今の現状からして思えないし、ましてや先のことは考えないブラジル人の気質もあります。

 そんな環境の中で、将来のことばかり考えて今の楽しい時間に疑問を持つなんて、したくないのは当たり前でしょう。

 現状を見ずに自分の価値観を押し付けることは、他人の幸せを奪うことにもなりかねないのです。

 

 

 そして大事なのは、問題を避けてそれを助長しないようにすることではなく、問題を解決することです。

 自分で問題に向き合い、それに対し自分でどれだけ多くのことを考えただけでは、彼らにとっては何にもならないのです。

 小さな問題には大きな問題が隠されているものであり、この問題を「考える」ということから「解決する」という方向に向かっていくのは生半可な覚悟でできるわけではありません。

 そして、今の自分には到底登ることのできないほどの大きな壁が立ちはだかっているのです。

 

 問題の解決には「教育」や「仕事」といった部分が大きく関わってくるでしょう。

 もちろん簡単に手を触れられない家庭の問題だってあります。

 それに対して何ができるのか。

 学生の僕には何にもできないんです。

 だからこそ、これから身につけていかなければなりません。

 社会の中で自分が生きていくために。

 

 

 「今を生きる」

 そればっかじゃ足元ばかりに目を奪われてしまうけど、それも本当に大事なことです。

 過去の今の繰り返しが今であり、それが未来へと続いていきます。

 

 つまり僕が大事にしたいのは、人生という大河のイメージの中で、地に足をしっかりとつけること。


 「未来に向かって今を生きる」

 こういうことなんでしょうね。

 

 

 

P.S.

 先日世界一周の旅をしている学生4人、ブラジリアの大使館の方2人、それにアマゾンの奥地でプロジェクトを行っている方と、年末に向けて日本人が続々とカノアに訪れています。

 年末年始は日本人祭り状態でしょうね (笑)

 

 最後に今日12月28日は、僕の22歳の誕生日!!!

 シュタイナー教育では7年ごとが人生の節目です。

 新たな年になり、新たな自分に出会えることを楽しみに、これからもがんばっていこうと思いまーす。

 ではでは。。。

 

 

2009年12月29日

 


                     

 

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