一月三日、さわやかな正月の空のもと、毎年恒例の初蹴りが行われ、今年もたくさんのOB達が、最上段に帰ってきてくれた。
笑顔のスタッフたちと、かわるがわる握手している様子を眺めながら、
「みんないい顔して、さわやかな青年になってるなー」と思っていた時、
いつもの重鎮の方々とは違う、見かけぬおじさんの顔を見つけた。
「あれ、あの人誰じゃろ?」と思いながらも、あいさつしようと近寄っていくと、
「岩井さん!」と、にこやかに手を差し出された。
「あー!!もしかして、ちえみ???」
当時の人気アイドル、堀 ちえみに似ていたので、単純に「ちえみ」というあだなで呼ばれていた、
自分の次の主将を務めた一学年下の後輩だった。
「お久しぶりです!今日はヒガシもいますよ!」
「マジで?? えー、あの人がヒガシ???」
(少年隊の東山に似ていたので、「ヒガシ」と呼ばれていた)
「お前らおっさんになったねー、もう全然ヒガシでもちえみでもないじゃないか!!」
「いやー、岩井さんは変わらないですねー」
約20年ぶりに会ったにもかかわらず、あっという間に気持ちは高校生時代に戻り、しばらく昔話に花を咲かせた。
「俺らたったの13人でよくがんばったよねー」
「ほんまですよ、なんで人数少なかったのに、あんなまじめに練習してたんですかね?」
そして、練習を始めた高校生や、早朝からうどんややきとり等の準備をしてくださった、たくさんの保護者の方々の様子を眺めながら、ちえみがつぶやいた言葉にぐっときた。
「なんかすごいことになってるじゃないですか!
ほんと俺らの代でサッカー部潰さなくてよかったー!」
そうよね、俺らの頃が広島城北高校サッカー部の歴史の中で一番の危機だったかもしれんね。
今からじゃ想像もつかないけど、部員不足でクラブが潰れるかも、そんな時代も確かにあった。
そして、初蹴りの終わりに、OB、高校生そして保護者の方たち、あわせて200人近い人々の前で、ちえみにスピーチをお願いした。
当時の様子の紹介や、現役チームへの興味と激励、そして今日味わった感動への感謝・・・
急にお願いしたにもかかわらず、とても素晴らしい、あたたかい言葉を聞かせてもらえた。
やっぱり同世代って、なにか特別な気持ちになるわ。
毎年最幸の時間を過ごし、一年をスタートさせてもらえる初蹴りで、
今年はちょっと懐かしい、
でも新しいパワーをたくさんいただきました。
ありがとうございます!!
2010年もしっかり走りますわ!!
2010年 01月20日
広島城北高校サッカー部 コーチ
岩井 竜彦