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〜 最上段のつぶやき 〜

Vol 114. 岩井 竜彦 コーチ

 

 

 一月三日、さわやかな正月の空のもと、毎年恒例の初蹴りが行われ、今年もたくさんのOB達が、最上段に帰ってきてくれた。

 

 

 笑顔のスタッフたちと、かわるがわる握手している様子を眺めながら、

 「みんないい顔して、さわやかな青年になってるなー」と思っていた時、

 いつもの重鎮の方々とは違う、見かけぬおじさんの顔を見つけた。

 

 「あれ、あの人誰じゃろ?」と思いながらも、あいさつしようと近寄っていくと、

 「岩井さん!」と、にこやかに手を差し出された。

 

 「あー!!もしかして、ちえみ???」

 当時の人気アイドル、堀 ちえみに似ていたので、単純に「ちえみ」というあだなで呼ばれていた、

 自分の次の主将を務めた一学年下の後輩だった。

 

 

 「お久しぶりです!今日はヒガシもいますよ!」

 「マジで?? えー、あの人がヒガシ???」

 (少年隊の東山に似ていたので、「ヒガシ」と呼ばれていた)

 

 「お前らおっさんになったねー、もう全然ヒガシでもちえみでもないじゃないか!!」

 「いやー、岩井さんは変わらないですねー」

 

 

 約20年ぶりに会ったにもかかわらず、あっという間に気持ちは高校生時代に戻り、しばらく昔話に花を咲かせた。

 

 「俺らたったの13人でよくがんばったよねー」

 「ほんまですよ、なんで人数少なかったのに、あんなまじめに練習してたんですかね?」

 

 そして、練習を始めた高校生や、早朝からうどんややきとり等の準備をしてくださった、たくさんの保護者の方々の様子を眺めながら、ちえみがつぶやいた言葉にぐっときた。

 

 「なんかすごいことになってるじゃないですか!

  ほんと俺らの代でサッカー部潰さなくてよかったー!」

 

 

 そうよね、俺らの頃が広島城北高校サッカー部の歴史の中で一番の危機だったかもしれんね。

 今からじゃ想像もつかないけど、部員不足でクラブが潰れるかも、そんな時代も確かにあった。

 

 そして、初蹴りの終わりに、OB、高校生そして保護者の方たち、あわせて200人近い人々の前で、ちえみにスピーチをお願いした。

 当時の様子の紹介や、現役チームへの興味と激励、そして今日味わった感動への感謝・・・

 

 急にお願いしたにもかかわらず、とても素晴らしい、あたたかい言葉を聞かせてもらえた。

 やっぱり同世代って、なにか特別な気持ちになるわ。

 

 

 

 毎年最幸の時間を過ごし、一年をスタートさせてもらえる初蹴りで、

 今年はちょっと懐かしい、

 でも新しいパワーをたくさんいただきました

 

 

 ありがとうございます!!

 2010年もしっかり走りますわ!!

 



2010年 01月20日
広島城北高校サッカー部 コーチ
岩井 竜彦

 


 

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