慶應義塾大学体育会ソッカー部3年
淺海友峰
「一丸」
40回生の淺海友峰と申します。
先日、宮本監督からOB日記の依頼を頂いたので僭越ながら書かせて頂きます。
6月22日に行われた早慶戦が最近のことで一番記憶に残っているので、早慶戦について書かせて頂きます。
6月22日、私は国立で因縁の相手、早稲田との試合に臨んでいました。
去年、0 - 5という歴史的大敗を喫した相手でした。
その晩は悔しくて眠れませんでした。
今年もU-22の日本代表に選出された鈴木 修人、大学選抜に選出された渡辺 千真、兵藤 慎剛などを擁し、戦力的には大学トップクラスのチームでした。
試合内容は五分五分で、結果も0 - 0の引き分けで終わりました。
もちろん勝てなかったことは悔しかったですが、去年の0 - 5の敗戦から比べると前進したと思います。
このように書くと自慢話と感じる方もいらっしゃると思いますが、私が言いたいのは結果や試合内容ではなく、去年0 - 5の敗戦を喫したチームにどのようにして引き分けまで持っていったかです。
早慶戦の前夜、うちの部は毎年「決起会」という会を催します。
部員全員が集まり、早慶戦に対しモチベーションを上げる会です。
毎年その会で1〜4年生の何名かが自分の早慶戦に対する思いを語り、最後は全員で円陣を組むのですが、今年はその会での4年生の早慶戦に出ることの出来ない選手の言葉が衝撃的でした。
「俺は小学校から慶應の付属校で、その時からこの早慶戦を目標にサッカーをやってきた。
去年まで自分の出れない早慶戦なんて見たくもなかったし、悔しいだけだった。
でも今年は冬から全員で苦しい練習を乗り越えてきて、それで出れないなら悔いはない。
もちろん出たかったという気持ちはあるけど、試合に出れない分も応援して、出るやつらと同じ気持ちで戦う。
絶対に勝ってくれ。」
という言葉を涙ながらに語ったのです。
他にも4年生の何名かが涙ながらに自分の思いを語ってくれました。
この言葉には本当に感動し、少し涙してしまいました。
他にも多くの部員が泣いていました。
この光景を他者が見ると異様な光景だと思うであろうと感じるほどでした。
去年の早慶戦は自分のことで精一杯で、正直チームのこと、試合に出ることの出来ない選手の気持ちを深く考えることは出来ませんでした。
今年も精神的にかなり追い込まれていましたが、この会で「出れない選手の分も走ろう、体張ろう。」と心の底から思いました。
慶應には現在、マネージャーや慶応義塾高校コーチなど、スタッフを合わせて107人の部員がいます。
その中で公式戦のメンバーで選ばれるのは18人です。
試合に出場出来ないことで悔しい思いをしながらも試合に出ている選手と同じ気持ちで、必死にチームのために仕事をし、また応援してくれる部員がいる。
試合に出ている選手にとってこれ以上心強いことはなく、これ以上ありがたいことはありません。
この試合は今まで私が経験してきた試合の中で最も「一丸となって戦えた。」と胸を張って言える試合でした。
「一丸になろう。」「一つになろう。」と言葉で言うのは簡単ですが、全員が一つになるには、日頃の練習から妥協せず、ぶつかり合わなければと感じました。
この試合は本当に勉強になった試合でした。
拙い文章でしたが、最後まで読んで頂きありがとうございました。
現役の選手のみなさん、俺らの夢だった全国大会出場を実現してください。陰ながら応援しています。
2007年07月04日
40回生 浅海 友峰