はじめまして、35回生の倉岡 和正です。

　 私は、中学時代からの6年間、広島城北サッカー部にお世話になりました。

　目に見える“結果”を残すことはできませんでしたが、

　色々な人と出会って、共に同じ目標を持ってサッカーをしたことは、

　今でも忘れられない思い出となっています。

 

　 私は、昨年公務員試験に合格し、広島県内のある市役所から内定をもらいました。

　30歳にもなった私が、なぜ今年4月から働くこととなったのか。

　その理由は、昨年まで新司法試験に合格するために勉強をし続け、

　昨年の不合格を機に新たな道を模索したからです。

 

　私は、法学部を選んだものの、

　法律の勉強を真面目にしていなかった結果、

　法科大学院（ロースクール）に入学することに時間がかかってしまいました。

　もちろん、大学4年間を遊んで過ごしていたのではなく、

　体育会サッカー部に入部し、大学生活の大半をサッカーに捧げました。

　卒業間近になって、法科大学院入学試験の勉強を始めたのですが、

　部活動からの切り替えがうまくいかなかったのです。

 

　その後、無事に法科大学院に進学・卒業することができましたが、

　肝心の新司法試験には合格できませんでした。

　しかし、不合格の場合に備えて、

　試験後から少しずつ公務員試験の勉強をしていたこともあり、

　ある市役所から内定をもらうことができました。

 

　 以上のように、私は、大学卒業後の時間を勉強等に費やし、

　晴れて社会に出ていこうとする現在までに多くのまわり道をしてきました。

　新司法試験に合格し、弁護士になりたかった自分としては、

　まさに挫折といえるでしょう。

 

　また、世間一般の人からすれば、

　長年夢に描いていた職業に付くことができなかったのだから、

　「失敗者」といわれるでしょう。

　無事に合格していった友人への嫉妬や後悔というものが

　ないかと言えば嘘になりますが、

　試験等に取り組んできた生活の中で

　色々な経験をさせてもらえたことの方が大事だと思っています。

　多様な価値観やバックボーンを持つ人達と出会って

　様々な話ができましたし、

　人の持つ怖さ・優しさ・実直さ・身勝手さ等を知ることができました。

 

　また、公務員試験に受かって、いざ法律から離れてみると、

　社会の中には選択肢（仕事）がたくさん存在し、

　そのどれもが素晴らしいものであることに気づくことができました。

 

　こうしてみると、まわり道と思われた私のこれまでの人生は、

　実は非常に意味のあるものだったのかもしれません。

　 自分が将来何になりたいのか、何がしたいのか、どういう人生を歩みたいのか、

　実際に自ら考えてみなければなりません。

 

　目標がなければ、それを達成する手段も見えてこないし、

　一度きりの人生が無駄なものとなってしまうからです。

 

　そういう私も、充実した人生を過ごしてきたとはいえませんが、

　その人生の段階ごとに一つのものに取り組んできました。

　高校時代には、県大会進出を。

　大学時代には、レギュラーになろうと。

　大学卒業後には、弁護士になろうと。

　それぞれの段階の中で、親・兄弟など家族の支えや、

　友人や先生との出会い、

　挫折感や充実感といった経験、

　そして自信や弱さなどを感じ取り、

　成長することができたと思います。

 

　これらは全て、自分が熱意を持ってチャレンジしてきたからだけでなく、

　私と関わる多くの人々の存在と支えがあったからこそ、

　学び、知り、得ることができたのだと思っています。

 

　 私は、自分の勤務する市が住みやすい、

　生きやすい場所となるように、

　そして自分の人生が豊かなものとなるように、

　これからも常にチャレンジして行こうと思っています。

 

 

　最後に、現役の皆さんには、

　常に向上心を持ってチャレンジしていくこと、

　楽しんで物事に取り組むことを忘れずに、

　アツい高校生活を過ごしてほしいと思います。

 

　私は、アツい気持ちを前面に押し出す宮本先生、黒瀬先生、岩井先生、高山コーチ、

　そして中学校サッカー部の監督である大下先生、高山 英樹先生といった指導者や

　城北サッカー部OBが見守り、

　現役生徒が作り上げる城北サッカー部が好きです。

　これからも応援しています。

 

 

 

2012年01月20日
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　35回生　倉岡 和正