12月になりました。
時間が過ぎるのなんてあっという間で、カノアに滞在できるのも気付けばあと僅か1ヶ月です。
このかわいい人形も、残り僅かな時間を有効に使えと言っているようですね。
「何しとんじゃワレ!!!」
ってか!!!
爆wwwwww
そもそもこんないかつい人形、日本じゃまず販売できませんよね。(笑)
この人形を大事そうに抱っこしてる子どもを見たときは、「さすがブラジルだなー・・・」と思ってしまいました。
さてさて冗談はさておき、終わることを意識し始めてから急に、自分の目にうつる景色が変わってきたように思います。
カノアの素晴らしさを今ここでまた再確認し、今はそれを噛み締めながら生活しています。
そんな中今回は、満月の夜に一人月を眺めながら物思いにふけってみました。
そう、この人形と共に。
下級層の人々は大半、与えられるものに感謝せず、努力することを知らない。
なぜなら不便ながらも楽しく生きていける現状に満足し、向上心がないから・・・
何十年もブラジルを渡り歩いてきた方に、こんな言葉を聞いたことがありました。
でも僕はカノアにきてこう思います。
与えられることに感謝の意が少ないとしても、人に何かを与えるということを全く惜しまない。
そして、不便で変わらない日常にも幸せを感じる豊かな心を持っている子たちだ。と。
メロン農園から無事カノアに到着したとき、村の子たちは僕を見るなり「しょー!!!」と叫びながら次々に抱きついてきてくれました。
そして、僕がいなかった間にどんなことがあったのか、事細かに話してきてくれます。
僕も、メロン農園での生活のことを話します。
抱きしめあい、笑いあい、そこにお互いが「いる」ことに幸せを感じあいました。
そこにお互いが「いる」こと、それ自体が幸せでした。
彼らは、何もいらないのです。何も必要ないのです。
ただ、自分のやりたいことをやりたいようにするだけで。
ただ、自分の大好きな人、大切な人、そしてあの人形と一緒にいるだけで。
果てしない水平線から日の出を眺め、自分の好きなものを勉強して、時間があれば海で泳ぎ、日が沈む頃には砂丘を登る。
食料がなくなったら漁師は海に行くし、日が暮れるまでサッカーする青年達もいれば、のんびり昼寝したり、家でゴロゴロテレビや映画見たりする人達もいる。
自分の体を鍛えたりする人達もいれば、ほうきや石、ボールなどあらゆるものを遊び道具に変えてしまう天才達もたくさんいて、彼らは皆、眠たくなるまで自分の好きなことをして生きる。
そんな毎日。
これこそ「生きる」ってことなのかな。
幸せなんて、その辺に有り余るくらい落ちてるものだ。
でも、それに気づくのか、そしてそれを拾えるのか。
そんなのはやっぱりその人次第なんだな。
人にはやっぱり持って生まれた環境があるし、自分の力じゃどうしようもないものだってある。
他の人が持ってるそれをうらやんだり、自分と比較してばっかじゃきっと自分のすぐ近くにある幸せには気づくことすらできないんだろう。
幸せってのは、形じゃなくて心だと思う。
右や左や上ばっかを見るんじゃなくて、自分の周りに落ちてる幸せに、少しだけ足元に目を向けることができたら。
走ってばっかじゃなくて、背伸びばっかしてんじゃなくて、立ってばっかしてんじゃなくて、少しは座ってそれを拾うことができたら。
誰にだって幸せを手にすることはできる。
誰だって、あの人形にジャイアントスイングをかますことはできる。
でも僕は座り続けていたくはない。
これから先にある何かを掴むために。
人はそれを、欲張りって呼ぶのかもしれないけど、それでも僕は、幸せを感じたならばそこからもう一度走り出したい。
今度は、その辺に落ちてる幸せを感じながら。疲れたら、また座り込んだらいいんだろう。
今日は満月。
明かりのほとんどない村だけど、満月は村を明るく照らします。
そんな月は広大な大西洋に浮かびながら、海も照らします。
そして夜の海が輝き、そんな月を眺めながら海に入り、みんなで歌って走って騒ぎました。
そんな日々。
日本はもう、冬なんだなー。
2009年12月05日